神経心理循環

神経心理循環とは

様々な神経心理学的機能(高次脳機能)はそれぞれ単体で存在しているわけではなく相互に影響を及ぼしあい、最終的に一つの表現形である具体的な認知行動として表出されます。たとえば,「新しいことを憶えられない」という記憶に関する問題行動が起こったとき、この問題行動の原因は必ずしも記憶機能によるものだけではありません。易疲労性や覚醒の低下の結果、自発性や意欲が低下し、注意・集中力も低下し、結果として情報獲得がままならず憶えられないといったプロセスが十分予想されます。そう考えると、高次脳機能障害に対するリハビリテーションは一つひとつの症状や機能障害に対して,単一的に,要素的にアプローチすることは困難です。また、高次脳機能以外の要素、呼吸・循環機能,運動機能や感覚刺激、摂食・嚥下機能などのより基本的な機能との関係も無視できません。高次脳機能を高めるにはこれら基本的な機能も含めて身体全体としてアプローチすることが望まれます。


図に示した「神経心理循環」という考え方は、そのような全人的リハビリテーションの在り方をシェーマにしたものです。


神経心理循環の図

神経心理循環 Neuropsychological Spiral (2008)

橋本圭司:高次脳機能を鍛える. 全日本病院出版会, 東京, 2008. より引用